28Dec

『轻小说・三秋缒』我曾打着电话的那个地方(二十三)

时间: 2015-12-28 分类: 我曾打着电话的那个地方 作者: kk

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语言:   大陆 港澳 台湾

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「どういうことだ?」と僕はとぼけた。

「言葉通りの意味です」

初鹿野はその話題をあえて追及しないことに決めたようだった。

「それにしても、なんだか意外です。日記を読んでいると、檜原くんという人はもっと無愛想で、口の悪い方という印象があったんですけど……こうして面と向かって話していても、そういう感じは受けませんね」

「病院だから、遠慮してるんだよ」

「やっぱり、私を傷つけないように気を遣っているんでしょう?」

“那是什么意思?”我装傻说。

“就是字面意思。”

初鹿野并没有要就那个话题追究下去的打算的样子。

“但是,总感觉有点意外。看了日记,印象里桧原是再冷淡一点、嘴再更毒一点的人来着……就算这样面对面地讲话,也一点没有那样的感觉。”

“在医院里,所以客气一点了哦。”

“果然是怕伤害到我,有在注意着吧?”

 

こういうとき檜原ならなんと答えるだろう、と僕は思考を巡らせた。

そしてこう答えた。

「ああ、そうだ。また自殺されちゃ困るからな」

すると、初鹿野の表情がにわかに明るくなった。

「そういう風に素直に接してくださると、私としても助かります」

初鹿野は自分の右側のスペースをぽんぽんとたたき、そこに座るよう僕に促した。

「こちらにどうぞ」

这种时候要是桧原的话会怎么回答呢,我那样思考了一下。

然后这样回答了。

“嗯,是啊。因为你再自杀的话会很为难的啊。”

初鹿野的表情顿时明朗了起来。

“这样自然地应对我,我也会轻松一点。”

初鹿野砰砰地拍拍自己右边的那块空位,催我坐到那里去。

“来,请坐这里。”

 

僕は言われた通り彼女の隣に腰を下ろした。転落防止用の安全柵のせいで座れる部分が限られていたので、そこに二人で座ると肩が密着する形になった。こうして近くで並んでみると、僕と彼女との体の造りの違いがこれでもかとばかりに浮き彫りになる。僕の体の設計図は直線定規と鉛筆で描かれていて、彼女の体の設計図は雲形定規と製図ペンで描かれているのだと思わせるくらいに、その差は顕著だった。また造りの細やかと相反して、彼女の肌はまるで色の指定を忘れたみたいに真っ白だった。僕の肌はこの一ヶ月のうちにすっかり小麦色に焼けていた。

我按她所说坐到她旁边。因为有防止掉落的护栏,能坐的空间有限,两个人一起坐着的话,肩膀就紧贴在一起了。这样近地并排坐在一起,异常突显出我跟她体型的差异。差距那样显著,让人感觉就像我的身体的设计图是用直尺和铅笔画成的、她的是用云尺和制图笔作成的一般。与在身体构型上的细致相反,她的肌肤犹如忘记了指定色彩一般雪白。我的皮肤则在这一个月中被彻彻底底地晒成了小麦色。

 

「ねえ、檜原くん。聞かせてください」初鹿野は両手を合わせて太腿の上に置き、少し前のめりになって僕の顔を下から覗き込んだ。「私が忘れてしまった、あれこれについて。日記の情報だけでは、どうしても限界があるんです」

「そんなに焦ることはない」僕は諭すようにいった。「今はとにかく、体と心を休めるのに集中するといい。誰も急かしちゃいないんだから、ゆっくり思い出していけばいいんだ」

「でも、これ以上みなさんに迷惑をかけ続けるわけにもいかないじゃないですか。それに……」

「それに?」

初鹿野は無言で立ち上がり、窓枠に手をかけて空を見上げた。

“吶,桧原。请给我讲讲。”初鹿野合着手掌,放在大腿处,人稍稍向前倾着,从下方偷偷瞧着我的脸。“我都忘记掉了,这些那些很多都。日记里的信息,再怎么说都是有限的。”

“没必要着急的,”我劝说道。“总之现在先专心让身心都休息好就行。没有人在催你,所以慢慢地回忆就好。”

“可是,也不能再继续给大家添更多麻烦了吧。而且……”

“而且?”

初鹿野沉默着站了起来,手搭在窗沿,抬头望向天空。

 

「こんなことをいったら、檜原くんに叱られるかもしれませんけど」彼女は振り向いて、それが冗談であることを強調するような笑い方をした。「もし記憶が戻ったことで私が再び自殺を試みるとしたら、今度こそ失敗しないようにやると思います。そして、それはそれで、一つの解決ではあると思うんですよ。私の悩みは消えるし、私に振り回される人もいなくなるわけですから」

僕は思わず立ち上がり、初鹿野の肩を掴んだ。初鹿野はひどく驚いたような顔で身を竦めたが、おそらく彼女以上に僕自身が驚いていた。自分の行動に意識が追いついていなかった。おい、僕は一体何をしようとしているんだ? しかし、考えるよりも先に体が動いてしまっていた。僕の両手が彼女の背中に回された時、ようやく自分がこれからどのような過ちを犯そうとしているかを理解したが、もう遅かった。次の瞬間には、僕は初鹿野を正面から抱き締めてしまっていた。

“说这种话的话,也许会被你说,”她回过头来,像是专门强调只是玩笑而已一样笑着。“我要是因为找回了记忆又去尝试自杀,我想,这次绝对不会让它失败了。我觉得这样大概也勉强算是一个解决方法吧。那样我的烦恼也烟消云散,也不会再有人为我操劳了。”

我情不自禁地站了起来,攥住初鹿野的肩膀。初鹿野神色很惊恐,身体也蜷缩了起来,而我怕是比她更对自己震惊吧。神智没有跟上自己的行动。喂,我这到底是想干什么? 然而在思考之前,身体就开始行动了起来。在我两手搂住她的脊背时,才终于认识到自己接下来将要犯下怎样的错误,可是已经晚了。下一个瞬间,我就从正面紧紧抱住了初鹿野。

 

こんなに卑劣な行為が他にあるだろうか、と僕は思った。一方的に想い続けていた女の子を、他人の名前を利用して抱き締めるなんて。こればかりは完全に規則違反だ。どんな言い訳も通用しない。彼女の記憶が戻ったら、僕はさぞ軽蔑されることだろう。

でも——と同時に僕は思う。今さら何を気にする必要がある? あと十日。あと十日で、僕はこの世界を去らなければならないんだ。せめてこれくらいの嘘は許してくれたっていいじゃないか。最後にちょっとくらい幸せな思い出をもらったって、ばちは当たらないだろう?

还会有像这样卑鄙的行为吗,我思考着。假借他人的名义去拥抱自己一直单恋着的女孩子这种事。唯有这个是违反规则的,找怎样的借口都行不通的。她的记忆要是恢复了的话,想必会被她瞧不起的吧。

可是——同时我又这样想到。事到如今还要担心什么? 再过十天。再过十天,我就不得不离开这个世界了。至少原谅我这点谎言还是可以的吧。仅在最后收获一点点幸福回忆的话,也该不会遭什么报应的吧?

 

「ひ、檜原くん?」

初鹿野は行為の意味を問うように僕の名を——いや、彼の名を――おそるおそる呼んだ。彼女は狼狽して身を強張らせていたが、それでも僕を突き放そうとはしなかった。僕の気を鎮めようとしてか背中を優しくさすってくれたが、それは完全に逆効果だった。僕の腕は彼女の温もりを求め、より強い力でその体を締めつけた。

「何も思い出さなくていい」と僕は彼女の耳元でいった。「誰かが何かを忘れるのは、それが忘れるべきことだからだ。だから無理に思い出す必要なんてないんだ」

「……そういうものでしょうか」

「そういうものだよ」

彼女は僕の胸に顔を埋めたまま考え込んだ。

“桧,桧原?”

初鹿野为了询问我行为的含义小心翼翼地叫了我的——不,他的名字。她惊慌失措,身体都僵硬了,却还是没有推开我。或许是想让我镇静下来,她温柔地摩挲着我的背,那起的却完全是反作用。我的手臂渴求着她的温暖,用更强的力道箍住了她的身体。

“什么都想不起来也没关系。”我在她的耳边说道。“人们忘掉某些东西,是因为它本该被忘记。所以没必要去勉强回忆的。”

“……是这样的吗?”

“就是这样的哦。”

她就那样把脸埋在我的胸口,沉思起来。

 

「でも、私、不安なんです。何か、とてつもなく大切なことまで忘れてしまっているような気がして」

僕は首を振った。「よくある錯覚だ。どんなゴミだって、失った直後はわけもなく不安になる。自分が捨ててしまったそれは、何か途方もなく価値のあるものだったんじゃないかという気がしてくる。でも、いざゴミ箱をひっくり返して取り戻してみると、やっぱりそれはただのゴミなんだ」

初鹿野が苦しげに身を捩り、僕は自分の腕が想像以上に強く彼女を締めつけていたことに気づき、慌てて力を緩めた。

「そう、それくらいの強さなら大丈夫です」初鹿野がほっとしたように体の力を抜いた。

“可是,我很害怕。感觉好像把什么非常重要的东西都忘记掉了。”

我摇摇头。“这是很常见的错觉。不管是怎么样的垃圾,把它丢掉之后也会担心起来。会开始感觉它会不会是什么有重大价值的东西。可是一旦翻遍垃圾箱把它找回来,就会发现它果然只是垃圾而已。”

初鹿野看起来很难受地扭着身体,我注意到自己的手臂用了超乎想象的力气把她困住,慌慌张张地放轻了些。

“嗯,这样的力度的话没关系的。”初鹿野似乎安心了一般,整个人放松了下来。

 

「悪かった」と謝ってから僕は続けた。「……そもそも、人は多かれ少なかれ、色んなことを忘れながら生きてる。何もかも覚えていられる人間なんて、ほんの一握りだけだ。でも、誰もそのことについて文句をいわない。どうしてだと思う? それは、結局のところ思い出というのがトロフィーや記念品みたいなものに過ぎず、肝心なのは今この瞬間だってことを皆心のどこかで理解しているからじゃないかな」

初鹿野を抱き締めていた腕をゆっくりと解くと、彼女はふらふらと後ずさってベッドに尻餅をついた。そして放心した顔で僕の顔を眺めた。数秒してふと我に返った初鹿野は、誰かにこの現場を見られたのではないかと不安になったらしく、きょろきょろと辺りを見回した。その取り乱した様子が新鮮で、僕は思わずくすくすと笑ってしまった。

“抱歉。”道歉后我继续说道。“……人本来就是或多或少一边忘却着一些东西一边生活下去的。能把一切都记得清清楚楚的人,只是仅有的一小撮人而已。可是谁都不会抱怨这样的现实。你觉得是为什么呢? 那是因为回忆这种东西,说到底不过是跟奖杯啊纪念品差不多的东西,大家都在心里某处知道,重要的是眼下的这个瞬间吧。”

把紧箍着初鹿野的手臂慢慢松开,她有些不稳地退了几步跌在床上。她表情茫然地望着我的脸。顿了几秒骤然缓过神,初鹿野像是担心起刚刚有没有被谁看到,慌慌张张地朝周围东张西望。她这副惊慌失措的样子很新鲜,我没忍住偷偷笑了出来。

 

「なあ、初鹿野。まだ夏休みなんだ。それもただの夏休みじゃない。十六歳の夏休みだ。失くした記憶のことを気に病む暇があったら、今この瞬間を楽しむ方が利口だとは思わないか?」

初鹿野は自分の膝をじっと見つめ、僕にいわれたことについて考えていた。

ややあって、彼女はいった。

「……確かに、檜原くんのいう通りかもしれません。でも、今この瞬間を楽しむといっても、具体的に何をどうすればいいのかわからなんです」

僕は即座に返した。「僕が手伝う。いや、手伝わせてくれ」

初鹿野はその反応の速さに驚き、目を瞬かせた。

“呐,初鹿野,现在还是暑假呢。而且不是普通的暑假,是十六岁的暑假哦。不觉得要是有闲心去烦恼失去了的记忆,不如来享受当下更聪明点吗?”

初鹿野紧紧盯着自己的膝盖,思考起我说的事。

稍过了会儿,她说。

“……确实,也许就像你所说的那样。可是,就算要享受当下,我也不知道具体该做什么好。”

我立马回话道,“我会帮忙的。不是,让我来帮你吧。”

初鹿野被我反应的速度吓到了,眨了眨眼睛。

 

「素朴な疑問なのですが」彼女は髪の毛を弄りながら訊いた。「どうして、私のためにそこまでしようと思えるんですか?」

「教えてやってもいいけれど、多分、訊かなきゃよかったと後悔する」

「構いません。教えてください」

「単純なことだよ。初鹿野のことが好きなんだ。それも友人としてではなく、一人の女の子として。だから少しでも力になりたい。そうして、少しでも君に好かれたい」

やれやれ、自分が何をしているかわかっているのか? 僕は自分という人間につくづく呆れた。友人の名を騙って記憶喪失の女の子を誑かし、どさくさに紛れてそれまでどうしても告白できなかった本音を打ち明ける。僕のやっていることは、会社や大学での立場を利用して、さらに酔っ払っているという予防線まで張って女の子にいい寄るとほとんど変わらない。

“有一个很简单的问题,”她一边拨弄着头发一边问道,“为什么要为我做这么多事呢?”

“告诉你也没关系,不过你大概会后悔不问就好了的。”

“没事。请告诉我。”

“很简单哦,因为喜欢你。不是作为朋友的喜欢,是对一个女孩子的喜欢。所以哪怕能做的不多也想帮你。还有就是,一点点也好,想让你喜欢我一点。”

啊啊,知道自己在干些什么吗? 完全被自己这个人吓到了。打着朋友的名号去骗一个失忆的女孩,在一片混乱里把一直怎么都吐露不了的真心话坦白出来。我在做的事,跟那些利用在公司、大学里的地位,还有拿着醉酒这种借口去追求女孩子的男人没什么区别。

 

「待って、ちょっと待ってください」初鹿野は怒っているとも泣きそうになっているとも取れるような複雑な表情を浮かべ、ひどく取り乱した様子でいった。「だって……その、日記には、檜原くんは荻上さんに惹かれているみたいだって……」

「その日記を書いた人はそう考えていたんだろう。でも本当はそうじゃない。出会った日からずっと、僕は初鹿野に惹かれていた」

初鹿野は何かいいかけて口を開いたが、言葉は喉から出てくる前にばらばらに砕け散ってしまったみたいだった。彼女はそれが再び集まって一つの形を取るのを待ったが、一度失われた言葉は二度と戻ってはこなかった。

“等下,稍等一下,”初鹿野表情变得复杂起来,像是生气了、又像是要哭出来了,一副很慌乱的样子,说道,“明明……那个,日记里面说,你喜欢的是荻上……”

“那是因为写那篇日记的人是那么想的吧。可是事实不是那样。从与你相遇的那天起,我喜欢的就一直都是你。”

初鹿野像是要说些什么张开了嘴,又像是话在从喉咙里蹦出之前变得支离破碎了一样。她等待着那些碎片再重新聚起来拼凑出一个完整的样子,可是错过了一次的话语再也回不来了。

 

初鹿野は新しい言葉を形作り始めた。そしてある段階で何かを確信したように目を見開き、顔を上げた。彼女はベッドに両手をついて立ち上がると、そのまま僕に向かって倒れ込んできた。僕は咄嗟にその細い体を受け止め、しっかりと抱き寄せた。

「私、思い出すの、止めにします」と初鹿野はかすかに滲んだ声でいった。「今この瞬間より素敵な思い出なんて、どうせありはしないんですから」

僕は小さな子供を褒めるように彼女の頭を撫でた。「そう、それでいい」

初鹿野は僕の存在を確かめるように檜原くん檜原くんと僕の腕の中で連呼した。彼女がそうやって僕ではない誰かの名前を呼ぶたび、僕の胸はきりきりと痛んだ。

初鹿野开始酝酿新的语句。然后像在哪一步确定了什么一样睁开了眼睛,仰起脸。她用双手撑住病床站起来,就那样向我倒过来。我立刻把她纤瘦的身体接住,牢牢地抱在怀里。

“我决定,不再去想了。”初鹿野声音隐隐洇晕着说道。“反正也不会再有比现在这个瞬间更美好的回忆了。”

我像夸奖小朋友一样摸摸她的脑袋。“嗯,就那样就好。”

初鹿野在我的手臂中一遍遍“桧原”“桧原”地叫着,确认着我还在这里。每当她那样呼唤一次那个不是我的名字,我的胸口就一阵绞痛。

 

初鹿野は僕に巻きつけていた腕を解くと、目の端に溜まっていた涙を手にひらで拭き取った。窓から吹き込んだ風が彼女の髪を揺らし、直後、静止していた時間が動き始めたかのように僕の耳に蝉時雨の音が戻ってきた。その瞬間までは初鹿野の声しか聞こえていなかったのだ。

「檜原くん、手伝ってください」初鹿野は揺れる髪を片手で押さえながらいった。「私の十六歳の夏休みが、最後の十日だけでも素敵なものになるように」

「ああ、任せてくれ」

初鹿野が差し出した右手を、僕はしっかりと握り締めた。

彼女の父親が迎えにくるまで、僕たちはその手を放さなかった。

初鹿野把被我缠住的手臂抽出,用手掌擦去眼角积着的泪水。从窗户吹进的风摇动着她的发丝,紧接着,像是静止了的时间又流动了起来一般,聒耳的蝉声又回到了我的耳边。在那一瞬间之前,我听得到的只有初鹿野的声音。

“桧原,请来帮我,”初鹿野一只手按住飘动的头发,说道,“哪怕只有最后的十天,也请让我十六岁的暑假变得美好起来。”

“嗯,交给我吧。”

初鹿野伸出右手,我把它紧紧握住。

直到她的父亲来接我们以前,我们都没有松手。

 

     *

 

翌日、僕のもとに一通の手紙が届いた。郵便受けから抜き取った封筒を裏返し、差出人の名前を見て僕は息を呑んだ。

それは荻上千草からの手紙だった。

死人から手紙が届いた、というわけではなさそうだった。配達日を指定するシールが葉書の隅に貼られており、消印の方は八日前に捺されていた。八月十四日、千草が僕に初鹿野を見捨てるように勧告した日だ。翌八月十五日、千草は初鹿野の過去について書いた手紙を僕に渡していたが、どうやらその手紙とは別にもう一通を残していたらしい。

機会はいくらでもあったはずなのに、なぜ千草はこの手紙を直接僕に渡さなかったのだろう? 僕に会って話をする前に死んでしまう可能性を考慮して、念には念を入れて手紙を出しておいたのだろうか? しかし、だとしても、なぜわざわざ八日後を指定しなければならなかったのか?

答えを求めて、僕は自室に戻って封筒を開け、折り畳まれた一枚の便箋を取り出した。見覚えのある便箋だった。十五日にもらった手紙と同じものだ。椅子にかけ、僕はその便箋のないように目を通した。

次日,有一封信寄到了我这里。从邮箱里抽出信封翻过面,看到寄信人的名字,我倒吸了一口气。

那是荻上千草寄来的信。

似乎并非是死人寄来的信。明信片的角落贴着一张定时配送的贴纸,邮戳是八天前盖上的。八月十四号,是千草劝告我不要再管初鹿野的那天。后一天八月十五号,千草给了我那封写着关于初鹿野的过去的信,好像除了那封还留有一封的样子。

机会明明要多少有多少,为什么千草不直接把这封信给我呢? 是考虑到了在与我见面对话之前就死掉的可能性,才这样小心谨慎提前寄出了信吗? 可是,就算是那样,又为什么非要特意定在八天后呢?

想着答案,我回到房间打开信封,取出一张叠好的信纸。似曾相识的信纸。跟十五号收到的信是一样的信纸。坐到椅子上,我粗粗扫了一遍信纸上的内容。

 

「なぜこのタイミングで私から手紙が届いたのか、深町くんは不思議に思っていることでしょう」という文で手紙は始まっていた。「実をいうと、私にもよくわからないんです。建前上は、『八月十五日の時点ではまだ初鹿野さんの自殺未遂の件や私の消滅のことで動揺している深町くんをこれ以上混乱させるべきではないと思い、ある程度日を置いた』ということにしてあります。でもひょっとすると、私は本心ではこの手紙が深町くんに届かなければいいと思っているのかもしれません。なぜかというと、この手紙には、深町くんと初鹿野さんが二人で生き残る方法が書かれているからです」

僕はその文言を三回読み返し、自分の読み間違いでないことを確認した。“深町くんと初鹿野さんが二人で生き残る方法”。確かに、そう書かれている。

逸る気を抑え、僕は一度目を閉じて深呼吸した。

“你一定觉得很奇怪吧,为什么会在这种时候收到我寄来的信,”信这样开了头。“说实话,我也不是很清楚。要说场面话的话,就是‘八月十五号的时候,你还因为初鹿野的自杀未遂和我的消失心绪未平,我觉得不能再让你变得更混乱了,所以稍稍间隔了些时间’。但是说不准,或许我本意是希望这封信寄不到你手上就好了的。要说为什么的话,是因为这封信里写着你和初鹿野两个人同时保住性命的方法。”

我把这句话反复读了三遍,确认不是自己看错了。“你和初鹿野两个人同时保住性命的方法”。确实是那样写着的。

抑制住急切的心情,我闭上眼睛深呼吸了一下。

 

「ただし」と文章は続いていた。「これはある意味では私の妄想みたいなものです。何一つ根拠はありませんし、仮に私の予想が何もかも的中していたとしても、深町くんたちが助かる可能性は一パーセントもありません。だから、あまり期待はしないでください」

文章はそこで一行空きで改行されていた。ここから本題に入る、ということだろう。「これまでに五回、私は電話の女とやりとりを交わしました。電話の多くは夜にかかってきましたが、一度だけ、夕方にベルが鳴ったことがありました。七月二十九日の十七時ちょうどです。なぜ時間まで正確に覚えているかというと、女からの電話に出たとき、受話器の向こうで十七時を告げるチャイムが流れていたからです。あれだけはっきりと聞こえたということは、彼女はよほどスピーカーの近くにいたのだと思います」

いわれてみれば、僕はこれまで電話の女と話しているとき、その背後でなっている音にはあまり注意を払ってこなかった。だが意識して振り返ってみると、女との電話の最中には、風の音のようなノイズが入ることが多かった気がする。

“不过,”信里继续写道,“这在某种意义上只是我的妄想之类的想法。没有一点事实依据,就算我的猜想全都命中了,也没有半分能救下你们的可能性。所以,最好请不要抱什么期望。”

写到这里隔了一行,另起了一行开头。就是说从这里开始进入正题吧。“至今为止,我跟电话里的女人有过五次联络。电话大多是晚上打来的,不过仅有一次的电话铃声是在傍晚响起的。是七月二十九号的整十七点。要说为什么连时间都能准确记住,那是因为接起她打来的电话的时候,听筒对面正响着十七点报时的铃声。我想大概是她在离扩音器很近的地方的缘故吧,才能听得那么清楚。”

这么说来,我之前跟电话里的女人对话的时候,一直都没怎么特别注意过她背后的声响。不过试着刻意回想起来,感觉在跟她打电话的时候,经常会听到有像风一样的噪声。

 

「結論からいいましょう。あの女はこの町のどこかにいます」と文章は続いていた。「あのとき聞こえたチャイムは、明らかに『人魚の唄』でした。あの曲を夕方のチャイムに採用している町が美渚町の他にないことは、いうまでもありません。そして、さらにもう一つ。私が聞いたのは人魚の唄だけではありません。電話が切れる直前、受話器の向こうから列車のブレーキ音が聞こえました。十七時五分くらいのことです。深町くんもご存知の通り、美渚町には知っている路線は単線のみで、本数はごくわずかです。あの時間、間近でチャイムとブレーキ音の両方が聞ける場所というのは、極めて限られています」

僕は唾を飲み込んだ。手紙の上に、額から汗が滴った。

「さて、ここで都合のいい仮定を持ち出しましょう。『あの女が私たちに電話をかけるときは、必ずある特定の公衆電話を使っている』。もちろん、根拠なんてほとんどありません。毎回似たような雑音が聞こえるから、そうであっても不思議じゃないなと思っただけです。……さて、この希望的観測に沿って話を進めていくと、少々面白い発見があります。十七時のチャイム、十七時五分の列車のブレーキ音、この二つを両方とも聞ける位置にある公衆電話というのは、美渚町内に精々四つか五つしかないんです」

しかし、と僕は思った。

それを知ったところでどうなる?

“从结论说起吧。那个女人就在这个城市的某个地方。”信中接着写道。“那时我听到的铃声明显是《人鱼之歌》。把这首歌用作傍晚的铃声的只有美渚町,这是再显然不过的了。然后还有一点,我听到的不止是人鱼之歌。电话就要挂断之前,听到听筒对面传来了火车的刹车声。大约是十七点零五分。你也知道的,经过美渚町的只有单线铁路,火车总共只有那么几趟。在那个时间能接连听到铃声和刹车声的地方,非常有限。”

我咽下一口口水。额头上的汗滴在信上。

“那么,现在来提出一个刚好符合条件的假设。‘那个女人给我们打电话的时候,必然用的是一个特定的公共电话’。当然,基本上没什么证据。每次都能听到差不多的杂音,所以只是觉得就算是那样也没什么奇怪的。……那么,顺着这个主观的推测继续下去,得到一个有些有趣的发现。十七点的铃声、十七点零五分的火车刹车声,在听得见这两个声音的地方的公共电话,美渚町内最多也就只有四五台。”

可是,我想。

知道这些又能怎样?

 

「それを知ったところで、どうにもならないかもしれません」と千草は書いていた。「あの女が電話をかけている場所がわかったとして、そして偶然に偶然が重なって、彼女が電話をかけている現場に深町くんが居合わせることができたとして、向こうがこちらの取引に応じてくれるとは思えません。いえ、それどころか、かえってあの女を怒らせる羽目になるかもしれません。あるいはそもそも電話の女は実体のない観念的な存在に過ぎず、地球上のどこを探しても見つかりっこないのかもしれません。いずれにせよ、彼女を探す試みは、十中八九無駄骨に終わることでしょう。いくらがんばってみたところで、残された期間を丸々棒に振ってしまうだけなのかもしれません。しかし、それでも、何もしないまま期日を迎えてしまうよりは、いくらかましではないでしょうか? ……もちろん、一番よいのは、正当なやり方で賭けに勝ってしまうことです。でも初鹿野さんの現状を考えると、そちらも非現実的であるように思えます。この手紙を深町さんが受け取るときまで彼女が生きているかどうかも定かではありません(もっとも、仮に初鹿野さんが罪の意識に耐え切れず自殺しようとしたところで、深町さんとの賭けを継続させるために電話の女が彼女を助けるかもしれませんが)」

そして千草は次のような文章で手紙を締め括っていた。

「深町くんに伝えておきたいことは山ほどあるのですが、それは実際に会って話そうと思います。不思議なものですね、口頭よりも文章の方が物事を正確に伝えられるはずなのに、誰もが最終的には口頭の方を信用するんです。結局のところ、言葉にとって、正確さというのは大した問題ではないのかもしれません。それでは、明日――深町くんにとっては八日前に――お会いできるのを楽しみにしています」

“知道这些,或许也不会怎样。”千草写道。“就算知道那个女人打电话的地方,然后偶然地偶然中的偶然发生了,你就在当场看到她打电话的样子,也没什么她会回应你的协商的可能。不,岂止那样,也许反而会把那个女人激怒。或者说那个打来电话的女人,也许本来就不过是没有实体的主观存在,在地球上哪个角落都不可能找到。总之这个去寻找她的尝试,十有八九会是徒劳吧。可能不管再多么拼命,也只会把剩下的时间尽数浪费掉吧。可是就算这样,也多少比不去挣扎,就那样迎接结束的那一天好一些吧? ……当然,最好就是去用正当的手段去赢得赌局了。可是想想初鹿野现在的情况,感觉这个也是不现实的了。也不确定你收到这封信时她是否还活着(不过,在初鹿野因为受不了罪恶感自杀时,电话那头的女人也有可能为了让你的赌约继续下去把她救起来)。”

然后千草这样写着,把信收了尾。

“想告诉你的有很多,但还是想见面之后当面跟你说吧。真是很奇怪呢,明明书面比口头更能把事情正确地传达,然而最后大家都会去信任口头上的那一边。说到底,也许对于语言来说,正确性并不是什么大问题吧。那么,我很期待明天——对于你来说是八天前了——能和你见面。”

 

手紙を四回読み返した後、僕はそれを畳んで封筒に戻した。

千草が最後の最後まで僕の無事を願ってくれていたのは嬉しかった。しかし本人もいっている通り、電話の女を探す試みは、十中八九無駄骨に終わることだろう。何かの間違いであの女を発見できたところで、つい昨日“不正を働いた”としてペナルティを受けた僕が何を言ったところで無駄に決まっている。交渉の余地があるとは思えない。そしてそれ以前に、千草も指摘しているように、あの女が実体を持った存在だとは限らないのだ。

把信重新读了四遍以后,我把它叠好放回了信封里。

千草直到最后的最后都期望我能平安无事,这让我很开心。可是就像她本人所说,寻找打来电话的女人十有八九会是徒劳。就算真的在什么意外中发现了那个女人,就在昨天因为“作弊”被收取了罚金的我,不管说什么都肯定没用了。不觉得会有什么交涉的余地。再说在此之前,像千草指出的那样,那个女人不一定是有实体的存在。

 

どの観点から見ても、残り十日間で電話の女を見つけ出して賭けから降ろしてもらうというのは望みの薄い話だった。そして万が一に賭けて残された時間を浪費してしまうより、僕は初鹿野のためにその時間を使いたかった。

もう、一か八かの賭けはこりごりなのだ。

僕は封筒を抽斗の奥にしまい、家を出た。

このときになって、僕はふと、電話の女に訊きそびれていたことがあったのを思い出した。結局、あの日彼女が自宅にいた僕と茶ヶ川駅にいた初鹿野の電話を繋げて話をする機会を設けてくれたのには、どんな意図があったのだろう? 淡い希望を与えておくことで、後に味わう絶望を深めようとでもしたのだろうか? それについて電話の女からは何の説明もない。何か妙だな、と僕は思った。どう表現したらいいのかわからないけれど、とにかくどこか腑に落ちないのだ。

不管从什么角度来看,在剩下的十天找到打来电话的女人让她把我放出赌局,这种事情都希望渺茫。比起万一把赌局剩下的时间浪费掉,我更想去为了初鹿野花掉这些时间。

已经受够了这种碰运气的赌局了。

我把信封收进抽屉里,离开了家。

这个时候,我突然想起有些东西忘记问电话里的那个女人了。那天她把在家的我和在茶川车站的初鹿野身边的电话连通,给我们对话的机会,到底是有什么企图? 是想给一点飘渺的希望,让之后体会到的绝望更深刻吗? 电话里的女人就这点什么也没有说明。有点奇怪,我想。不知道该怎么表述,反正,有什么地方难以理解。

 

     *

 

kk:m(__)m 补上。

糖里有s,s里有毒……

 

我也是一条汪

所以这两天很颓_(:_)∠)_

 

其实是在补lie to me

缓存要看完了……不好了

 

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  1. ฅ•̀∀•́ฅ
    ฅ•̀∀•́ฅ 发表于: 2015年12月28日 11:25:52

    ฅ•̀∀•́ฅ

  2. 脑残粉
    脑残粉 发表于: 2015年12月28日 15:48:40

    日常虐男主

  3. 醬油Project
    醬油Project 发表于: 2015年12月28日 15:53:30

    ฅ•̀∀•́ฅ懶得去想了汪

  4. 777
    777 发表于: 2015年12月28日 16:11:11

    千草真是个好女孩啊

  5. 哈哈
    哈哈 发表于: 2015年12月29日 00:45:06

    这。。。

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